香盤表の仕事はひとつだけです。適切な人を、適切な場所に、適切な機材とともに、適切な時刻に届けること。そしてこの仕事は日常的に失敗します。情報が間違っているからではなく、書類が読めないからです。スタッフは肝心な一行を読み飛ばしていきます。
読み飛ばされる香盤表と、実際に読まれる香盤表を分けるものを見ていきます。
ほとんどの人が読むのは上三分の一だけ
全員がページの上を読み、誰も下を読まないと考えてください。皮肉ではなく、香盤表とは実際そう使われるものです。朝5時、半分寝たまま、番号ひとつと住所ひとつを探して目を走らせる。上に間違ったものを置き、下に肝心なものを置けば、その書類は一日が始まる前に失敗しています。
上三分の一に必要なのは、日付、スタッフ全体の集合時刻、住所を省略しない撮影場所、駐車の案内、そしてその日の最初のショットです。天候が効いてくるなら、たとえばロケや、時間の限られた夜間撮影なら、それもここに入ります。それ以外はすべて下で構いません。
全体の集合時刻ではなく、個別の入り時間を
数人を超える規模の現場で「スタッフ集合7時」の一行だけというのは、ほぼ役に立ちません。ヘアメイクと照明・撮影助手が同じ時刻に入る必要はないし、朝一のシーンに出る俳優と、午後まで出番のない俳優の入り時間は違います。
入り時間は部署ごとに、キャストについては個人ごとに書いてください。これには二つの効果があります。必要になるまでの一時間、十五人が立ち尽くすのを防ぐこと。そしてもうひとつ、誰かの入り時間が間違っていればすぐ目に見えることです。時刻が名前に紐づいているので、ブロックのなかに埋もれません。
脚本順ではなく、撮影順
香盤表のシーン一覧はその日の撮影順であって、脚本に出てくる順とは往々にして違います。これは香盤表でいちばんよくある混乱の元なので、みんな分かっているだろうと考えず、一覧の頭に明記する価値があります。
各シーンの行に必要なのは、シーン番号、内景・外景と昼夜、一行の内容、ページ数、そして出演するキャストです。この一覧を読んだ助監督は、その日の予定が現実的かどうかを一目で判断できるべきですし、衣装部は、どの俳優が何時までにどの衣装でいるべきかが正確に分かるべきです。
本当に必要になる連絡先
すべての電話番号が香盤表に載るべきではありませんが、必要なものは見つけやすくなければいけません。制作事務所、チーフ助監督、ロケーションマネージャー、そして緊急時の担当者。最寄りの病院があるなら、それは末尾の付け足しではなくここに入ります。
この欄は小さくて地味ですが、実際に切迫した状況で人が探すのはここです。だからスクロールしないと見つからない場所にあってはいけません。
香盤表に載せないもの
すべてを伝えようとする香盤表は、何ひとつうまく伝えられません。キャラクターの背景、部署固有の技術メモ、長文のスタッフ連絡。これらには別の居場所があります。香盤表は一日分の運用書類であって、制作バイブルではありません。二文を超えるメモは、たぶん項目ではなくメールです。
すでにあるものから生成する
毎日ゼロから作る香盤表は、スケジュールとシーン分解にすでにある情報を写しているだけです。どのシーンを撮るのか、どのキャストとロケーションが関わるのか、どの順番なのか。それを手で打ち直すところにミスが入り込みます。撮影スケジュールと合わないシーン番号、あとから追加されたシーンに出ていることを誰かが忘れて一覧から漏れたキャスト。
plotwellでは、香盤表はその日の予定シーンとその分解データから直接引いてきます。キャスト、ロケーション、シーン順は、香盤(ストリップボード)が使っているのと同じ出どころから来るので、二つの書類が知らないうちに食い違うことがありません。部署ごとの入り時間と連絡先を一度入れておけば、スケジュールが変わるたびに香盤表は正しく作り直されます。撮影日の前夜に手で組み直す必要はありません。
いちばん良い香盤表とは、誰も二度考えずに済むものです。上に必要なものがあり、自分の入り時間が合っていて、最初のシーンがどれかが合っている。それだけです。
